歯内療法の困難さ

カテゴリー
記事提供

© Dentwave.com

はじめに
昨今の歯科医療の進歩においても歯内療法の難しさに異論はないと思います。マイクロスコープ、拡大鏡といった光学機器を使用しても、直視直達が難しく、解剖学的にも狭小で複雑な形態をした根管にアクセスすることの難しさは容易に想像できます。
また、 Ni-Tiファイルを使用しても狭い口腔内での操作の難しさに変わりはありません。また、歯内療法によりせっかく歯牙を保存しても打診痛の継続や違和感といった不快症状を訴えられ、困った経験も多いことと思います。
デンタポートZXとトライオートZX2
当院の歯内療法では、デンタポートZX((株)モリタ)とトライオートZX2((株)モリタ)を使用しています。最近は、OGP(Optimum Glide Path)機能が追加されたトライオートZX2を使用する頻度が上がったように思います。このトライオートZX2では、#20以下の細いファイルを用いて、モーターを使用してのグライドパスが可能となりました。
OGP機能により大臼歯の湾曲した根管、狭窄した根管でも効率的な治療が可能となり、今まで難症例であったケースも比較的時間をかけずに、安全確実に根管へのアプローチが可能となりました。
特に電気的根管長測定では、唾液、血液、浸出液などにより測定値に誤差が生じる可能性があることからもラバーダム防湿は必須と考えます。また、穿通後の根管長と作業長を厳密に区別し、治療を行うことも歯内療法の成功の要と言えます。
トライオート
▲トライオートZX2((株)モリタ)
穿通、グライドパス、形成をモーターで行うことができる。

canal_depth_08 canal_depth_16
対極を装着したまま操作することで、根管長測定機能と連動して治療ができる。

トライオート
▲OGP(Optimum Glide Path)機能
#20以下の細いファイルを用い、モーターでのグライドパスが可能になった。

トライオート
90度正転、90度反転、90度正転、120度反転を繰り返すモードと、180度正転、180度反転、180度正転、270度反転を繰り返すモード、240度正転、240度反転、240度正転、330度反転を繰り返すモードの3つの動きによりネゴシエーションを簡単にしている。

トライオート
▲OTR(Optimum Torque Reserve)機能
切削回転中、ファイルにかかる負荷に応じて反転することで、ファイルの食い込みや破折を防ぐことが可能。

トライオート
90度反転、180 度正転と120度反転、240 度正転の2つのモードが準備されている。

トライオート
水酸化カルシウム製剤等の薬剤を根管内へ注入するための反転モード

OAS(Optimum Apical Stop)機能
ファイルが作業長に到達すると、ファイルが回転停止する前にファイルの食い込みを解除する反転動作を行い、ファイルが根尖に食い込んだまま抜けなくなる現象を軽減する。


作業長の決定
作業長の測定方法には、正確に撮影されたレントゲン写真(CTを含む)による根管長の測定や電気的根管長測定が考えられます。いずれの手法も誤差が生じることは確かなので、複数の方法を用いて根管長測定の誤差を減らすことは日常の臨床でも大変重要です。
トライオートZX2の電気的根管長測定の原理
トライオートZX2では、ルートZX、ルートZX miniと同じように、400Hzと8KHzの2つの周波数で根管インピーダンスを測定し、その都度比較することにより、血液や浸出液があっても正解な根管長を測定することができます。
歯内療法の成功の秘訣
歯内療法は根管内の異物を根尖孔より漏出させないことが最も重要です。また、唾液による汚染を防止することやファイルといった鋭利な器機による口腔粘膜の損傷を防ぐためにもラバーダム防湿は必須と考えられます。
歯内療法は、直視できない部位の治療となりますので、ファイルの進む方向に違和感がある場合や突然の出血があった場合には、必ずレントゲン写真を撮影し、確認することが大切です。歯内療法の成功が歯牙の寿命を延ばし、健康寿命へ大きく貢献することは間違いありません。より確実な歯内療法のためにトライオートZX2は有用な選択肢と考えられます。

プロフィール

内田 昌德(うちだ よしのり) 医療法人鶴翔会 内田歯科医院 長崎大学大学院歯学研究科(口腔生理学専攻)卒業

オススメ記事


▲歯科治療で最も困難な治療?ポスト除去

▲ペントロン ジャパン株式会社主催 「明日から始めるマイクロスコープ導入セミナー」

記事提供

© Dentwave.com

新着ピックアップ