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記事

2018/04/23

クラウンの除去を簡単に効率的に行う方法

クラウンの除去することのストレス
クラウンの除去の難しさは、第二回で連載したポスト除去の困難さに次ぐ難易度の高い治療と思います。短時間でクラウンの除去が行えれば、非常に効率的な診療ができるばかりか、患者さんの苦痛を軽減することと不快な除去の切削の音と振動を減らすこととができます。また、保険点数では、除去に対する時間軸は考慮されていないために、早く短時間に除去できるほど経営的には良い結果が生まれます。
  • クラウン除去に除去用鉗子を使用する利点

    ・ 切削量が少ないので残存歯牙を温存できる。
    ・ 穿孔量が少ないので、切削時のバーの振動が少なく術後の打診痛が少ない。
    ・ 形態を保持したままクラウンを除冠するので、穿孔面をレジン埋めればTEKとして再利用が可能となる。
    ・ 除去の際の金属の切削量が少ないので口腔内への金属の飛散が少ない。
  • クラウン除去に除去用鉗子を使用する欠点

    ・ 他のプライヤーに代用できる鉗子がないために、新たにメタルクラウンリムーバーを購入する必要がある。
    ・ 使用には若干のコツがあるので熟練が必要である。
    ・ マージン部分の歯肉を傷める可能性がある。
    ・ 無理に力をかけると歯牙が脱臼する可能性がある。
クラウンを早く除去するコツ
穿孔や切断する際に使用するカーバイトバーは、No.330を使用します。一般的に使用されるNo.1557,No.1558といったクラウン除去のバーは、刃部が大きくなり金属の切断時に接触部分が増加し、振動も大きくなる傾向になります。当院では、最も細いNo.330が個人的にはお勧めです。また、バーの単価も安価なので単回の使用でもコスト的に気になりません。毎回新品のカーバイトバーを使用する理由としては、先生の時給が一番高いことと、患者さんへの負担を軽減する一番の方法は、新品のバーを毎回使用すること以外に解決の方法がないからです。

  • メタルクラウンリムーバー(株)タスク クラウンを切断することなく簡単に除去することができる鉗子。

  • 歯内療法のためにクラウンを除去することとなった右下第二小臼歯。

  • 右下第二大臼歯とのブリッジの支台歯だったようだが、右下第二小臼歯で切断されたまま放置されていた。

  • カーバイトバーNo.330(ラウンドバーでも可能)を用いてクラウンの咬合面に約2mm穿孔し、メタルクラウンリムーバーの先端の嵌合する部分を形成する。

  • メタルクランリムーバーの先端の突起部分を形成した穿孔部分に差し込み、もう一方の鉗子の先端部をクラウンのマージン部に引っ掛ける。

  • メタルクラウンリムーバーの鉗子の把持部をそっと握り込むと梃子の原理で簡単にクラウンを除去することができた。
注意
メーカーでは、クラウンの穿孔部を1.5mm 以上取ることを推奨しています。
しかし、大きく穿孔部をとると鉗子の先端部の把持がぶれるために注意が必要。
鉗子の滅菌の必要性
外科に使用する鉗子に関しては、どの医院でも滅菌処理されていることと思いますが、義歯に使用する鉗子や除去に使用するプライヤー類はどうでしょうか。アルコール綿で拭いただけで、引き出しに戻したりされていないでしょうか。口腔内に入るものですから、毎回鉗子は滅菌する必要があると思います。昨今の保険点数の改正でも滅菌が重要なトピックスになっています。口腔内で使用した除去の鉗子、義歯用、矯正用といった鉗子類は必ず滅菌するというルールを院内で徹底すれば、患者さんへの感染予防ばかりでなく、院内で働くスタッフや先生の安全を保障してくれます。
当院では、滅菌された器具に関しては、患者さんのも目の前で滅菌パックを開けています。儀式やプレゼンテーションのようですが、患者さんは必ず見ていますので注意が必要です。
クラウン除去の定石
日常の診療で、クラウンを外すという操作は意外と多いと思います。特に歯内療法においては、少しでも振動を少なく早く除冠するかが疼痛のない治療への近道と思われます。クラウンの除去に関して、教科書や専門書を見てもなかなか記述がなく、先生のオリジナルの方法で治療をおこなっているという状況と思います。当院では、新品のカーバイトバー(No.330)とクラウンリムーバーを使用するというのが、除去の定石となっています。
少しでも早く治療を確実に終了させる方法としてメタルクラウンリムーバーを診療に加えてみませんか?

プロフィール

内田 昌德(うちだ よしのり)
医療法人鶴翔会 内田歯科医院
長崎大学大学院歯学研究科(口腔生理学専攻)卒業

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