法律コラム第2回「院内解雇トラブル」-後編-

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前回のコラムでは、リスクが解雇対象となる従業員と会社との間のトラブルですが、今回は、従業員同士のトラブルが会社に飛び火する場合です。どういうことかと言いますと、問題従業員に対して注意指導せずほっておくと、確かにその問題従業員と会社との間のトラブルは起きませんが、問題従業員が他の従業員に迷惑をかけたとき、会社が職場を適切に管理せずに被害者となった従業員に損害を与えたとされて、損害賠償義務を負う場合があります。職場環境保持義務という重い責任が会社に課せられています。

これはなかなか経営のみを専門にしていないと難しいところでもありますが、従業員管理として、問題社員に対しても優しく接しながら問題を起こせば解雇できるように用意しておく。逆に優良社員と考えている従業員に対しても、その評価のまま用心せずに任せっきりにすると足元をすくわれることがあるので用心が必要。ということです。ここら辺が経営者がだんだん孤独に苛まれる部分でもあるのですが、従業員とフランクに接しながらもどこか冷静に見て判断を行う必要があります。

また、従業員がミスをしたり問題行動を起こした場合に、注意して仲間内の注意程度ですませるのではなく、そこは一線を引いてこれはちゃんと懲戒手続きにかかりますし評価に影響しますと伝えることは、社内に一定の緊張感を生じさせて良い影響もあります。

それは、結局そうすることで不適切な行為をした本人の自覚を促すことになるんですね。そして、懲戒手続きをするときに、君のためにも今回ちゃんと注意したことを残した方がいいし、今後の奮起を期待しているからこそ注意するんだということを伝えるということをする。そうすると社長や院長に言われてちょっとごめんなさいで済む話ではなく、ちゃんとしなければ自分のためにもならないとわかる社員にはわかるんですね。そうすることで、問題行動自体を社員が伸びるチャンスに使いつつ、社長や院長との適切なコミュニケーションの機会にしつつ、裏で解雇しやすくしておくことができます。

次がこれです。これは二つ側面があって、ちゃんと注意した外形を残さないと、あそこまでは許されるんだという悪い前例になってしまうんですね。あの人がここまでやって注意で済むなら自分もそこまでやっても平気だと思ってしまい、全体的な緩みにつながります。 その緩みが、問題社員が周囲を引っ張るときに簡単についていく原因となってしまいます。注意された問題従業員は、自分だけではないと思いたいし、自分を正当化したいので、周りを引き込もうとすることがあります。自分と同じように怠業しようとしたり、決められた作業手順を守らないように周りを引き込むということがよくある事例です。そういった同調圧力を排除するために懲戒処分が有効な場合があります。

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