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2013/10/24

第34回 11th International Conference on Tooth Morphogenesis and Differentiation(TMD)に参加‐海外旅行の落とし穴‐

日本大学歯学部・解剖学第II講座  准教授 本田雅規 先生

5月末から6月にかけて南仏を訪れる機会を得た(2013年)。このマルセイユの旅が著者にとって、これまでで一番勉強になる旅となった。といっても、学問の話ではなく、海外旅行というものを考え直すよい機会となった。自分の恥をさらすことになるが、同じことが繰り返されないために、海外旅行の落とし穴という題目で話をさせていただく。

3年に一度、International Conference on Tooth Morphogenesis and Differentiationは開催される。歯に関する組織と細胞の発生と形態の学問を発展させるために欧州で始まった学会である。私は英国、スイス、ドイツに続き4回目の参加であり、今回の南仏は前回に開催場所が決定され、初の南仏への旅となるので、楽しみにしていた。今回の学会場は、主要都市ではなく、プロバンス地方のLe Londe les Maures, French Rivieraである。おそらくDentWave会員さんの中で訪れたことのある方は少ないでしょうね。
皆さんならどうやってこの会場まで行きますか?もっとも近い空港はToulon-Hyeres Airportで、学会場から約10㎞にあります。空港からはタクシーが必須。皆さんが良くご存じのMarseille International Airportからは120KM、Nice International Airportからは150kmの距離があります。それらの空港からは電車でToulon駅へ、そしてタクシーにて会場となります。また、Toulon-Hyeres airportへはパリのオルリー空港からのフライトしか無い。つまり、羽田からシャルルドゴール空港に到着後、バスで移動しなければならないのです。私は、昔読んだ南仏のドライブの本を思い出して、久しぶりに海外のドライブを楽しもうと考え、レンタカーを借りることにした。南仏の海岸沿いをドライブする風景を想像したのです。プロバンスといえば、ワイナリー。ワイナリーに行くにも車があると便利ですよね。今回18名の日本人が参加していましたが、各々違うルートで会場に向かう。

5月27日月曜日の深夜1時に羽田空港発パリ行便は早朝パリに到着する。J社はOne WorldグループだがSKYTEAMのラウンジは使える。羽田空港に本屋はありますか?成田空港には本屋があり、出発に前にガイドブックを買う習慣になっている。今回はガイドブックも無い旅となった。ガイドブックには、お店やレストラン以外に、治安のことも書いてありますよね。最近、海外出張先の調査を怠っていた。
海外でレンタカーを借りるには、国際免許が必要になる。
(http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/menkyo/menkyo/kokugai/kokugai01.htm
東京では、運転免許試験場、運転免許更新センターそして指定警察署で申請・取得できる。勤務先に最も近い神田の更新センターに行ったが、日本の運転免許証を忘れた。すでに、5月24日金曜日、間に合わないと思ったが、幸いなことに、鮫洲の試験場では日曜日に取得できる。所要時間も1時間未満で、早くなったなと感じた。日本国法令では、外国において交付された国際運転免許証のみを「国際運転免許証」と呼び、日本の都道府県の公安委員会が交付する国際運転免許証を「国外運転免許証」と呼ぶようだが、実際に発給される国外運転免許証の日本語(漢字)表記は「国際運転免許証」となっていた。国際運転免許証はどこの国でも使えるわけではないので、事前に対応している国かを確認する必要がある。
レンタカーもインターネットで簡単に借りられた。保険については、分かりにくいが、読んで確認することも大切である。マルセイユ空港にあるレンタカー会社は、空港の外に出るとすぐに目に留まる。普通の地図はもらえないので、ナビは必ず借りたほうが良い。ナビのレンタル料金は車両とは別に設定されていて、一日14ユーロだが、ナビで命拾いをした。

マルセイユ空港からツーロンに走る高速道路を走行中、マルセイユの市街地に迷い込んだ。道を間違えてもナビに従うしかない。最短距離であるのだろうが、狭い道を教えてくる。しかし選択肢はない。
とうとう今回の本題となる問題が起こった。信号で止まると、スクーターが車の後部に「こつん」とぶつかってきた。ドライバーはフランス語で興奮して叫んでいる。おそらく、「お前が急に止まったからぶつかったんだ、バイクが傷ついたから弁償しろ」とでも言っているのだろうが、こちらは全く悪くない。信号が青(緑)になったので、無視して走り出したが、運悪くナビはなかなか高速に戻してくれない。市街地をさまよう中、スクーターは私の車を追っかけてきて、信号で止まる度に叫んでいる。ナビは同じ道を指示し、同じ間違いを2度した。驚いたことに、また信号で横に並ばれると、スクーターの後部座席の女性に私の車の後ろのドアを開けられた。この車のドアは、自動でロックはかからないようだ。すぐに青信号になったので、走り出すとドアは閉まったが、「これはまずい、逃げないと」と思うが、道は混雑、見知らぬ土地を思うように走れるわけがない。ついにというか、赤信号で停車した時に、後ろに乗っていた女性が助手席のドアを開けて、助手席に置いてある鞄を取って逃げた。一瞬だった。あっけにもとられた。その後、すぐに、「パスポート返せ」と声にでたが、聞くはずもない。次に頭に浮かんだのが、「携帯電話もとられた」。その次が印刷して持ってきた「会場周囲の地図も取られた」だった。「まあ、まずは落ち着きなさい。人間落ち着きが肝心だよ」の名言を思い出す(何の映画だったかは忘れた)。
その場で、途方に暮れていた時に携帯が鳴った。レンタカーを借りるときに、携帯電話をカバンから出して、ジャケットに移していた。携帯は私を失望感から救ってくれた、携帯への依存度がどれだけ高いのか改めて感じた。次に「ナビに会場の住所が入れていることを思い出した」。会場まではいけると思うと少しずつ落ち着いてきた。会場に行くのが最もよいだろうと考えて、走り出すと、ナビはスムーズに高速の入り口を示した。同じ道を通るのはこれが3度目であった。しかし、まだまだ難関が待っていた。
 南仏の高速道路は有料である。ユーロのコインとお札を入れていた財布は盗まれた。最初の自動料金所はクレジットカードで払った。クレジットカードを取られていたら、どうなっていただろうか?恐喝はされていないので、身に着けていた財布は盗まれなかった。しかし、次の自動料金所はクレジットカードを受け付けなかった。遮断機は通過させないし、周りに人もいない。車をバックさせて、路肩に寄せて考えたがいい考えが全く浮かばない。後方を見ると分岐路が見えたので、分岐路に車を進めると案内所があったので、そこに行くが英語は通じない。ジェスチャーで「日本円をユーロに変えてほしい」と頼むが「ノー」だった。では、「どうしたらよいか」尋ねると、「後払い支払書にサインをして、1週間以内に振り込みなさい」とのことだ。料金所のゲートにて、署名をするとゲートを開けてくれた。これで会場に行ける。3か所の料金所があったが、自動料金所にある「呼び出しブザー」を押して、係りの人に来てもらい、お金がないことをジェスチャーで訴えて、後払い支払書にサインをして通過した。

高速を降りてからも会場までにはかなりの距離があり、ナビがなかったら絶対に到着できなかったと思う。また、欧州はご存じのように信号のない交差点(環状交差点、ランドアボウト)が多い。どこからも入れて、どこからも出られる交差点。進入している道数が多いと、ナビの示している出口の認識が難しく、何度か出口を間違えた。ナビの案内は最後の最後で、「目的地周辺」で終わった。会場周辺の地図を印刷して持ってきたのだが盗られた。学会の案内の標記もない。それらしい駐車場に入ると、友人が見えてほっとした。

学会のスタッフに今回のことを話すと、パスポートの再発行には盗難の証明を警察署に発行してもらうことが必要なので、まずは警察署に行きましょう、ということになった。英語で通じるか不安であったが、スタッフが同行してくれた。予想通り、学会会場近くの警察署員は英語が通じず、2時間ほどかかったが、盗難証明書を頂いた。犯人を捕まえる気はなさそうである。

会場にもどり日本大使館に事情を説明すると、マルセイユに領事館があるとのことで、領事館に電話して事情を説明し、渡航証に必要なものを教えてくれた。1、警察の盗難証明書(紛失証明書)、2、身分証明賞、3、写真、4、発行料金である、身分証明書は日本の免許証がある。写真は領事館の近くで入手可能なようだ。
領事館ってどんなところだろうか、想像できますか?人生初の領事館の訪問である。東京にも多くの大使館が存在していますよね。大きな建物もあれば、マンションの一室の国もある。カメラも取られたので写真はないですが、ビル2階の一室だった。担当の方が、スーパーの場所を教えて、まずは写真が必要とのこと。撮影機械は見つけたが、小銭がない。近くのお店は両替してくれないので、買い物して小銭を作って撮影した。書類を書いた後に15分ほどで渡航証ができた。
領事館の外交官が挨拶にきた。先週こちらに赴任したようだ。週に一度はパスポートもしくは渡航証を発行に来る日本人がいる。パリの大使館と合わせると週に二人は盗まれている。今回、ドアを開けられてカバンが盗まれたが、ドアの鍵がかかっていたら、窓を割られてとられることがあるようだ。領事館の机の上に、海外旅行の安全手引きが置いてあり、そこには、私が経験したことと同じことが、絵付きで説明されていた。代表的な手口でやられたのである。また、フランス人は「それは古典的な方法」と言った。

日が経つにつれて、少しずつ自分を取り戻してきた。今いるところはプロバンス地方、ワインの産地である。特にこのあたりはロゼの質が良い。レンタカーで出かける元気が出ていた。本当はこういうためにレンタカーを借りたのだった。
青い空、一面のブドウ畑。ワイナリーは何十軒あるだろうか。ここだと思ったところのワイナリーに入る、こういった冒険が楽しい。3軒のワイナリーを訪れたが、どこも10‐15ユーロ。試飲もできる。これと思ったワインを白、赤、ロゼと一本ずつ買う。ワインを熟成しているところも見せてくれながら、生産本数が少ないので、日本にはまだ出荷していないようだ。

南仏は楽しい、しかし海外であるという初心を忘れてはいけない。
会場に4泊したが、毎日、朝起きると、あれも取られた、これも取られたと思いだした。一度にすべてを思い出せないのは年だからだろうか。カメラも買いかえればよいが、メモリーは元に戻らない。また高価なものはいつ買ったのか、クレジットの明細書を残しておくとよい。これから損害賠償に臨むが、そのような書類は残っていない。どこまで保険会社は対応してくれるのであろうか。機会があれば、またその話をしたい。

今回宿泊した建物

写真1:
今回宿泊した建物。この中の一室に滞在。
いくつもの同じような建物、会場、レストランが同じ敷地内にある。

会場近くのワイナリー

写真2:
会場近くのワイナリー。試飲をして白ワインを購入した。

マルセイユの町を丘の上から

写真3:
マルセイユの町を丘の上から。

マルセイユ港

写真4:
マルセイユ港。このあたりの治安はよさそうである。

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