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2013/10/24

第5回 会話が大切

経営関連コラム

第5回 会話が大切
田上めぐみ 歯科衛生士

春、社会ではスタッフの新旧交代の時期です。特に本年、新聞やニュースで毎日の様に報道されている、「3月末までには就職を決めたい」「新しい職場を求めています」など、新卒の方や、一線で活躍してきたベテランサラリーマンの嘆きが、聞かれて久しくないご時世でもあります。就職難、派遣打ち切りと、暗い話ばかりの就活の現場とは裏腹に、毎年、都心部に限らず歯科衛生士の就職先は、何十件もの中から選べる羨ましい就職状況です。

しかしご承知のように、長年の歯科界の求人、求職の重要供給バランスの悪さは医院経営者の先生方には、頭を悩ます問題です。私も、新人教育や復帰者への指導業務の中で、ライセンス取得者の約4分の1しか従事していないという、現状の根本的な打開策はないものかと考えあぐねます。

雇用者、従事者の意識は、永遠に同じラインになることは無いかもしれませんが、どこまでも接近できるものだと考えます。また、これからの歯科界は、お互いの意識をもっと接近させなければならないとも思います。

そこで今回は、職場環境・就職状況など、深く複雑に絡み合った糸をほぐすまでには至りませんが、今の歯科界に強く感じる事をお話させていただこうかと思います。

まず、歯科衛生士という立場、従事者として守るべき事柄や、意識を変える必要性がある点についてお話しします。

(1)
就職する時は、しっかりとした雇用条件の提示を求めましょう。

(2)
新卒者、経験者共に、就職する医院が自分の求める歯科医院であるかを、徹底的に研究しましょう。

(3)
雇用条件や、職場環境に疑問・質問があれば、納得いくまで話し合って下さい。

(4)
自分自身で選びぬいた医院は、納得するまで勤めて下さい。

(5)
もし就職決定後に問題があれば、試用期間中に辞めて下さい。

(6)
縁あっての時(経験)を無駄にせず、ひとつでも多く、得るものを探して下さい。

(7)
従事者としての責任・立場を理解して下さい。

(8)
歯科衛生士として誇りをもって従事し、医療人としての自己研鑽を重ねて下さい。

これが、私の持論です。勿論、歯科衛生士として従事していたころもありますし、20年前、就職したころは、雇用規則や、雇用条件の提示などなかったのも確かです。

しかし最近は、面接時にしっかりとした雇用条件の提示を行う雇用者も、多くなりました。ですので、働く者としてきちんと説明を受けていれば、その要件を自分が精査したのちには、決まり事は守るという社会人としての責任があります。これは、至極当然のことなので、後になって「聞いてなかった」や、「そういうつもりではなかった」などの文句をいうことは、もってのほかだと考えます。

そして、雇用者側にお願いしたいことは、

(1)
面接時に、医院の雇用規約をきちんと説明をして下さい。

(2)
雇用条件の文書を提示して下さい。

(3)
社会労務士などの専門家に、人材管理を任せることも必要です。

(4)
面接時に「どんな人材を求めているのか?」を、多くの時間を使って話して下さい。

(5)
医院の理念を持ち、従事者が向う方向を指南して下さい。

(6)
医院理念に沿わない人材と、無理に仕事を行わないで下さい。

特に、少人数の小さな医院では、スタッフに医院経営に、参加・貢献する気持ちを持たせることが大切なことではないでしょうか。そのためには、従事者と会話を行い、個々の人材が何を感じ、何を考えているのかを深慮する事が必要です。歯科衛生士は悲しいかな、ライセンスを得ただけでは即戦力になるのは不可能です。お給料を頂きながら育ててもらおうなんて、とんでもないとお考えでしょうが、現実的には育成する期間も必要です。

また、大所帯のグループ医院では、経営者がワンマンではないかと錯覚する場合もあります。しかし、そのような医院では、各ポジションに外部者や専門職を配置し、経営者だけでは目に見えない部分を補いながら経営を行っています。歯科衛生士の雇用に限ってではないですが、経営者は、全スタッフとの会話を積み重ね、お互いを尊重することで信頼を深めながら、1つの医院を作り上げていくしかないのです。

転職を重ねる衛生士からは、働いてみて初めて、「条件が違う」「自分の居場所がない」と気づいた、というような声をよく聞きます。最初にお互いが求めているものを、きちんと確認する話し合いを持たずに就職すると、お互いの不幸を招きます。

最後に・・・歯科衛生士と歯科助手とを、区別なく業務させる医院方針では、かえって歯科衛生士不足という、益々厳しい状況を招く可能性があると思います。ライセンスを持っていない歯科助手に同じ業務を行わせる医院に、優秀な歯科衛生士は定着しないと考えます。逆に、そのような環境でも、不満も無く働ける衛生士は、プロ意識が低い人材だと思います。その方針に問題を感じない人材の集まりですと、結果的に医院経営は衰退するのではないかと危惧しております。

人員の増員を検討したり、新卒者が入ってくるこの時期、それぞれのポジションにキャリアをデザインしなければなりません。そのためには、スタッフとの会話の機会を多く持ち、意思の疎通が必要だと考えます。

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