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2013/10/24

第3回 開業時のキャリアデザイン

経営関連コラム

第3回開業時のキャリアデザイン
田上めぐみ 歯科衛生士

新年あけましておめでとうございます。みなさまにとって、幸多き一年でありますよう心からお祈り申し上げます。本年もよろしくお願い申し上げます。

さて今回は、新しい門出ということで、新規開業時のオープニングスタッフ選考でお悩みの先生方に、ご参考にしていただければ幸いです。私は日々、多くの歯科医院さんで、仕事に対する意識・意欲が様々に異なるスタッフと出会います。医院経営者の方々の人材に対するお悩みも、また様々です。時には、開業スタッフ選考に頭を抱えている先生方にも出会います。人間関係で悩むより治療に専念したいと思う先生方にとっては悩ましい問題だと思います。

新規開業の従業員選考は、勤務医時代と違って、先生方にとっても初体験。ご自身が選んだスタッフと、チームとして医院を運営していけるのか?ひとつの目標へ足並みをそろえて歩きだせるのか?と、従業員の選考に悩まれるのも無理はありません。開業を成功できるか否かは、人選が明暗を分ける要素の一つと感じておられるからでしょう。「人は生垣、人は城」と、このあたりは共感されることと思います。

間違った選考をすれば、開業後も人間関係の軌道修正が必要になりますし、苦労や悩みが尽きず、無駄な時間を過ごすことになります。また、先生ご自身の仕事に対する姿勢に沿わない人材との協同作業に、ストレスを感じることもあるでしょう。ずば抜けて勤勉家で向上心が強い先生の下では、一歩でも院長先生に近づきたいと思うスタッフが集まり、努力家である院長先生の下にも、日々めげずにひたすら努力するスタッフが集まったほうがうまくいきます。逆に、スタッフの方が、意欲・仕事に対するモチベーションも高く自己研鑽力も旺盛なのに、院長先生に向上心がなければ、やはりお互いを尊重できず互いに離れていきます。いろいろな環境を見てきて、やはり同じ意識レベルを共有している人材が心地よい環境を作るものだと感じます。

歯科医療現場は一般の会社と異なり、職場環境が特殊です。特に多くの医院さんは、小人数で医院経営を行うという特殊な環境であるがゆえに、よいチームワークやチームの意識レベルを同じくして出発しなければ、歪みを作ってしまいます。

そこで、開業時点では人材の選考に際して、ポイントがあると考えます。

●この方は、自分と同じ意識で医院を動かせる人材なのか。
●強烈なプラス思考か、または、強烈なマイナス思考を持っていないか。
●自分が選考したスタッフ達が、同じフィールドに立てるか。

この3点を基本に、院長先生となられる先生方が想い描く医院像に即した人材を選抜すれば、問題はないかと思います。

歯科医院の人材環境を分類するならば、例えばこのようになると思います。歯科衛生士として、デンタルスタッフとして、仕事熱心に日々向上心を持っている人材は、アッパー20% 反対に、オープニングスタッフとして従事したにも関わらず、仕事への関心も低く自己研鑽のかけらも見えない人材はロウアー20%。中間(ミドル)層が60%。

開業時にアッパー20%の人材と出会うことは、募集時期のタイミングや医院の状況等の理由により、簡単な事ではないと思います。しかしミドル60%の人材に出会うことは可能だと考えます。一人でも多くのアッパー20%を選考できれば、医院カラーはアッパー20%寄りの集団になることでしょう。ミドル60%の人材は環境に流されやすい人材なので、開業後のマンパワーを開花させれば、良いスパイラルを起こします。

より細分化すれば、下記のような考えが当てはまるのではないでしょうか。

<5:15:60:15:5の法則> 5%が環境変革型(アッパー) 15%が環境改善型(アッパー) 60%が環境順応型(ミドル) 15%が環境逃避型(ロウワー) 5%が環境破壊型(ロウワー)

●アッパー5%
周囲に与える良い影響力が非常に強く、前向きに生きる優秀な人材。常に向上心を持ち、道を切り開きながらプラスに生きる。しかし協調性はない。歯科医院という環境でキャリアデザインをするならば、コーディネーター役やマネージャー的な存在。

●アッパー15%
前向きに生きている。周りと協調しながらも環境を改善しようと、周囲に良き影響力を与える。医院環境へ新しい知識や、メニュー創りを提案する。キャリアデザインとしては、新人への教育係やチーフなど。

●ミドル60%
環境順応型。プラス思考の人間環境にいればプラスに影響され、マイナス思考の人間環境にいればマイナスに影響される。適応能力が高く、多くの人材の潜在的な思考。引っ張られる環境が「良」なスパイラルなら医院全体のボトムアップに繋がる。アッパー15%が人材力の底上げを行ってくれる。

●ロウワー15%
逃避しながら生きている。何をスタートするにも、マイナス思考でマイナスな思考を持ちながら、まわりを「負」のスパイラルへ巻き込む。悪口を言ったり、社会が悪いという被害者意識が高い。開業時にピンとこなくても、試用期間中に輪の中からはみ出していれば、医院環境に応じられない人材。もしくは、先生と同じ思考ではない人材。

●ロウワー5%
何事もマイナス思考で捉える。世の中と協調性を持たず、トラブルメーカーとなる。医療に従事するものとして、チームワークが取れなければ、選考の判断を誤ったと決断するべきタイプの人材。

多くのロウワーは、少なからず「やる気」がありません。「やる気」とは、いかなる問題に直面しても、創意工夫し、自身で道を切り開く意欲があるかどうかだと考えます。「出来るだけ努力します」とか、「やってみて判断します」という第一声は、「やる気」を持っているとは言えないと、私は反論します。まさしく逃避している人材。「やれる」と信じて行う事や、「やれるためには何を行うか」を思慮しない人材でなければ、初めから目標へ向かって努力しないと感じられるからです。

私自身も歯科衛生士のボトムアップを…と、奮闘している身であることから、トップとなられる先生方に、僭越ながら求心力のある院長先生を目指して頂きたい、とお願いしたいところです。開業時点での人材選別には、躊躇せずに先生方の想いをぶつけていただければと思います。開業という多忙な時期でありますが、納得のいく人材を選考することは、結局お互いのためでもあり、医院発展への重要なポイントになると思います。

「まぁエエか…他に歯科衛生士もおれへんし」で済ますと、負のスパイラルに巻き込まれ、その空気は来院者に伝わります。そんな環境を最も望んでいないのは、先生方ではないでしょうか。

最後に、「お掃除好きな人」を選んでください。次回はそのお話を…

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