第1回 健康を守り育てる診療室を作ろう

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はじめに

予防をベースにした診療室を作るには、まず、院長の決断が必要です。予防をベースにした診療室は医院のシステムを根本から見直す必要があります。 単に、予防専用ユニット作り専任歯科衛生士を雇えばいいというものではありません。医院全体を予防をベースとして診療する体制に方針を定め、そのために必要な事柄を院長がリーダーシップをとってスタッフと共同で進める必要があります。

スタッフの研修・増員

スタッフの育成は診療室の要といってもいいでしょう。歯科衛生士は、自分の担当患者をもち長期間継続してお付き合いすることとなります。そのためにはう蝕と歯周病の病因論に基づいて患者さんにわかりやすく説明できる知識をもって、それを臨床で行える技術が必要です。新卒の歯科衛生士は、臨床経験がありませんし、経験のある歯科衛生士でもアシスタントワーク中心に仕事をしていたり、う蝕を歯周病の病因論について学生時代の知識しかなく予防をベースとした診療に必要な知識が不足していることが多いようです。したがって新しく雇用したり、医院の方針転換するにあたってはまず、スタッフの研修からスタートしなければなりません。研修の中で重要なのは、口腔内写真撮影とカリエスリスク検査についてでしょう。 口腔内写真は、患者さんと共通理解を得ていく上でもっとも大事な資料です。初診から一定の規格に基づいて継続的に撮影していくと診療がスムーズに進むようになります。歯科衛生士は一人で短時間に患者さんに負担をかけないように撮影する技術を身につける必要があります。そのための書籍やDVDも発売されていますし、医院で実地研修と行ってくれる業者もありますので上手く利用するといいでしょう。カリエスリスク検査はいろいろなメーカーから発売されていますが、メーカーごとに検査結果は微妙に異なりますので、一度導入したら他のメーカーに変えるのはなかなか難しくなります。事前に十分調べてから導入を決めてスタッフがいつでも実施して結果を患者さんに説明できるようにしておくことが必要です。 さらに歯周病の初期治療をきちんとできるように器材の整備と技術トレーニングも大事です。これらのいろいろな研修もなるべく歯科医師と歯科衛生士、場合によっては受付や助手も含めて医院全体で参加するといいでしょう。一時的に経費の増大となりますが、新しいシステムの構築にはそれなりの投資が必要なことを理解する必要があります。ここで注意しなければいけないのは、参加したスタッフが長期間勤務出来るような環境を整備することです。研修に参加して、実際の臨床で成果を発揮できるようになるまでには数年かかる場合もあります。その間に、スタッフが辞めてしまっては、また、一からやり直しとなりいつまでたっても医院の成果をだすことができません。スタッフの多くは女性ですから、それなりに気を配り、なるべく長期間、できれば結婚出産後も勤務できるように医院の体制を整えると、患者さんも安心して通院できます。患者さんにとっては、「私の担当歯科衛生士、つまりマイハイジニスト」なのです。通院のたびに担当が変わるようなことがあると患者さんはいつも緊張することとなります。「私のお口のことを知っている歯科衛生士」がいることによってどれだけ患者さんは安心することでしょうか。これはとても大事なことです。

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