第1回 歯科で禁煙支援をはじめよう!

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 歯科医療従事者であれば、歯周病と関わりがあるということは、すでにご承知のことでありましょう。禁煙をしたことで歯肉の色もキレイになると同時に肌の色つやもとてもよくなります。もし、喫煙者で歯肉の色が良くなった際には口腔ケアが上手になったことを伝えると同時に「禁煙しましたか?」と伝えてみてはいかがでしょうか?大人になってから褒められることが少ない中、照れくさそうに喜んでくれることでしょう。  

 肺が汚れていることを即座にのぞくことはできませんが、喫煙による着色で歯が汚れることを気にして来院される方も少なくありません。口の中は鏡をのぞけば一目瞭然。歯科は禁煙支援にうってつけの場所なのです。 幾度となく禁煙に挑戦しては、再喫煙をし「今度こそという決心のもと」友人の死をきっかけに喫煙「やめたいのだけれどうまくかない」「職場が禁煙になるので」「学校の先生に言われて」と母親と来院する中学生・・・。 吸い始めのきっかけも、禁煙にいたった動機も人さまざまです。支援の仕方もさまざまです。  では、なぜやめられないのでしょうか?   これ一本だけと思ったタバコがもと本数に戻ってしまうのはなぜか? その原因は、二つの依存にあります。ニコチンという薬物による「ニコチン依存」と、記憶などに基づき脳に収められた喫煙習慣による「心理的依存」の二つによるものなのです。禁煙を経験された方ならすぐに思いつくはずですが、吸わないでいるとイライラするというのはニコチンに対する身体的依存であり、お酒を飲みながら、車の運転中、コーヒーを飲みながらタバコを吸うというのは快適な活動や気分、或いは不快な気分からの開放と喫煙は関連づけられていきます。

ニコチンとニコチンレセプターの結合

           

禁煙を希望される方には、「よく決心されましたね」という声かけとともに、禁煙を始めるに至ったことをじっくり聞くことから始まります。禁煙失敗することで、周囲の人に言い訳することしきり、開き直りを繰り返した人も再スタートです。「カギ」をニコチン「カギ穴」をニコチンレセプターとたとえてみます。一度増えたニコチンレセプターを減らすことは出来ませんが、禁煙して2〜8週間経過するとその働きが少しずつ弱まり過剰なレセプターが働かなくなった状態が「禁煙成功」となるわけです。   現在に至っては、ガマンの禁煙から方法も一新され、やめられない理由も医学的に解明された中で、医学的根拠に基づいた禁煙が可能となりました。「意志」があって「方法」もあるとなれば、あとは実行するのみです。あきらめなければ、必ず禁煙できます。何回挑戦してもいいのです。タバコのない生活のいいとこ探しを始めましょう。禁煙支援を通して、歯科診療室での新たなコミュニケーションが展開されることでしょう。

歯科衛生士 相馬紀子

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