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2013/10/24

第2回 単純なきっかけで歯と歯ぐきがキレイになる

 一般的に、歯みがき指導と言えば、幼い頃から受けた“染め出し”“赤染め”という言葉が印象深いようです。また、歯科医院の歯科衛生士さんから毎回毎回歯みがき指導を受けても、なかなか上手にみがけないので、そのうち歯科衛生士さんに叱られてしまったなど・・・・。

歯みがき指導から想像するイメージを日本国民は、マイナスイメージとして捉えているようです。私は、健康や疾病予防の観点で保健指導している専門家と患者・生活者の意識にかなりの温度差が生じていることに気づいたのです。今は、このことを、この年齢になるまで気づかなかったことをとても恥じています。1000人の歯みがきを通した生きた現場から多くのことを学ばせてもらったと思っています。

 顔のスキンケアに若い頃からお金と時間を費やし、化粧品もあれこれとたくさん使った人ほど、年齢を重ねるにしたがい、しみが出たり、しわが多くなったりで、最近は、何もしない方が肌年齢は実際より若いと言われています。

案外、歯の手入れも、あれこれといろんな道具を使って、あるいは器具器材を買って手入れするより、無理のない手入れをしている人の歯が立派だったりすることはよくあるものです。

 全国各地で行っている8020達成者の表彰なんかがそうですね。何も特別なことをしない人が8020達成の立派な歯の持主で、8020は歯科医院に定期的にずっと通院していたから達成できたという人はあまりいないようです。

このことに専門家はあまり気づいていないようです。歯石を取り過ぎてエナメル質に鋭利な刃先の傷が残ったり、歯間ブラシを使い過ぎて歯間空隙が大きくなったとか、C1のむし歯処置したのが今はクラウンになってしまったとか、歯みがき指導を受けても難しくて・・・・、歯ブラシの角度やら圧力とか・・・・。

乳歯が生えたらすぐみがきましょうと指導され、乳歯のエナメル質が擦過傷で薄くなり、象牙質が見えている等々こんな生活者の生の声を聞いたり見たりしてきたので、少し反省しているのです。

 専門家として患者さんにしてあげたい事と患者さんがして欲しい事は、食い違っていることも知りました。サービス業の基本は、相手の望むことに答える。相手の話を聞いて求められればアドバイスする。これが何よりも一番に大切だと教えられました。相手が欲しいとおっしゃる歯ブラシを買ってもらうのが一番大切。

それを専門家だからと言ってこれを使った方が良いですなんて、聞いてもいないのに勧めるのは、押し売り、押し付け、説得にしか聞こえないことを中小企業診断士の方から、きつく注意を受けたことがあります。  とにかく、お客さんの話を聴くことから始める。まず、自分が全身で聴く態度になる。このことに徹したとき始めて、相手の真の想いが見え、共感でき、感動へと導く、この流れが自分の習性になるのです。

私はこの習性が身に付くまで、1年も掛かりましたが、今は、肩を張らずに人生を生きられるようになりました。どんなお客さんでも、どんな出来事でも許せるようになりました。

 基本学習は、相手の成功事例や失敗事例に学ぶこと、何も特別なことをしないで8020を達成した人、何も特別な化粧品を使わなくて肌年齢が若い人、皆、成功事例です。こんな人からこそ学ぶべきです。歯医者さんに通い続けて、歯を無くした人には、それなりの理由があるはずです。

化粧品を使い過ぎて肌をダメにした人にも理由があるはずです。つまり、こんな現場にこそヒントがあると思います。歯と歯ぐきを健康維持増進するために、本人が出来ること、専門家がサポートできること。そんなに大げさなことではないかもしれません。例えば、定期的に歯石を除去することは、その人には必ず必要?不必要?ケースバイケース?こんな視点で見直すことで、温度差が小さくなるのでは・・・・。

 最近、介護予防に口腔ケアが導入されたのをきっかけに、ある療養型病院に勤務した歯科衛生士が、看護師長さんから期待していると言われ、病院でスケーラーを買ってもらい、ベッドサイドで寝たきりの患者さんを片っ端からスケーリングしたそうです。

歯科衛生士の力量を他職種に見せたかったらしいのですが・・・・。患者の家族から、出血して止まらないとか、肺炎を併発したとか苦情が出たそうです。また、別の事例です。老人保健施設に初めて勤務した歯科衛生士が、寝たきりの入所者の数本の残存歯をひとり30分掛けて歯ブラシでシュシュみがき始めたそうです。すると、次から次へと誤嚥性の肺炎が発症。どうもプラークや食残渣が肺に入ったことが原因のようでした。

 歯科衛生士は、とかく、歯石を見ると取りたがり、プラークを見つけると歯ブラシで一生懸命取りたがる、そう言われてしまいました。こんな光景を想像すると、こっけい、バカ、恥ずかしいなどと言うより、辞めて!と言いたいと思いませんか。どうも介護職の世界からは、歯科衛生士のイメージがこんな風に見えるようです。

しかし、介護施設に携わっている全ての歯科衛生士がそうだと言っているのではありませんので、誤解のないように。素晴らしい仕事をしている歯科衛生士はたくさんいますが、何故か不祥な事柄だけが他の職種から耳にするのは、最初に導入する時には有りがちなことなので、私達は、気をつけなければならないのです。

 さて、平成18年4月の介護保険改正に伴い、口腔ケアと口腔機能向上がクローズアップされたと同時に、歯科衛生士の活躍が期待されていることから、介護職には新しい職種として珍しく映っているようです。

 ところで、歯科衛生士の役割は、特別重篤な歯科疾患がない限り、その人の歯とお口全体をキレイに、つまり歯と歯ぐきと舌と粘膜全てを傷つけることなく、清掃用具を用いてキレイにして、口の中の細菌を減らすことだと思います。例えば、お風呂に入り、身体と顔と髪をキレイにし、すっきりする感覚と同じように捉えるなら、入浴するのにそれほどたくさんの用具を次から次へと使わずとも、ボディ用、髪用、顔用のソープとタオルがあれば、通常はキレイになるはずです。

 口の中では、同様に、歯磨剤、歯ブラシ、舌・粘膜用のブラシ程度でキレイになるはずです。口の中は残念ながら、自分の目で見えるところは表面だけで、裏側は見えにくいのです。背中は自分で洗いにくい場所であるから、人に流してもらうと気持ちよくキレイになるのと同じことだと思います。

 これが、私のコンセプトの原点です。だから、口の中をキレイにする専門家が出現してもおかしくないというのが私の発想です。平成14年に私が歯とお口のエステとして、エステシャンのような人材(私はオーラルケアアドバイザーと名づけています)を育成したのは、この発想からでした。歯と歯ぐきと舌・粘膜を絶対に傷つけることなく、これまでの難しいブラッシング法にこだわらずにただキレイにすることがポイントです。

 次回につづく

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