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2013/10/24

第4回 臨床実習で得たもの

歯科衛生士コラム 第4回

臨床実習で得たもの
永瀬 佳奈  歯科衛生士

 ゴールデンウィークも終わり、またいつもの生活が戻ってきましたが、皆さま体調など崩されていませんか?
毎年この時期になると私の勤務先には、自分の母校でもある歯科衛生士学校から、学生が臨床実習にやってきます。
初めて臨床の場に出て、皆とても緊張した面持ちで実習に臨んでいます。

 私も、18年前は同じように実習生としていくつかの医院をまわり、ドキドキハラハラ緊張の毎日を送っていました。

 初めての実習先は、病院の口腔外科でした。外科というだけあって、清潔域・不潔域の区別が明確に細かく分けられていて、そのような環境に慣れていない私は、清潔域をうっかり素手で触ってしまって注意されることも多々ありました。何もかもが初めてのことで、バキュームも印象材やセメントの練和も何一つ満足にできない毎日が続き、自分の不器用さに自信もなくしていました。
さらにドクターや衛生士の方からも厳しく怒られ、辛い毎日を送っていたというのが一番の思い出でしょうか。

 2件目は、一般の開業医に実習に行きました。院長以外に2〜3名のドクターと5名の衛生士、受付のいる大所帯の医院で、厳しい院長の下で皆黙々と診療に励んでいました。そこには一人で実習に行っていたので、実習はもちろん、スタッフの人たちと打ち解けるのにも、人見知りの私には大きな苦労でした。
1件目の時よりは、バキュームも材料の練和もできるようになってはいましたが、治療の流れを理解できていないために、数々の失敗を重ねました。マスク越しから聞こえるドクターの声が聞き取れず、根治の途中で「カルテ」と言われているのに、「カルボ」と聞き間違え、いきなりカルボセメントを練ろうとしたり、貼薬の際に「FC」が「NC」に聞こえて準備してしまったり、理解できていないがために起してしまった失敗は数えきれません。

 幸い院長やスタッフの人たちにも可愛がっていただき、そこでも何とか2ヶ月間の実習を無事に終えることはできましたが、私の中での「歯科衛生士」という職業への魅力はどんどん小さくなっていきました。2箇所の実習で、歯科衛生士はドクターから使われるだけの存在というイメージしか持てなくなっていたのです。

 次の実習先は大学病院で、約3週間の間に全ての科を見学させてもらいました。1年生の時から大学病院というネームバリューに惹かれ、不純な動機で大学病院に就職したいと思っていたので、不安な反面、どんなところだろうと楽しみでもありました。実際に実習に行ってみると予想通り、衛生士は皆とてもキビキビと仕事をこなし、キレイでカッコいいその姿に憧れました。就職するならやっぱりここだ!という思いは強くなりましたが、やはり衛生士の仕事への魅力は感じられないまま最後の実習先に行きました。

 その最後の実習先が、現在も勤務している松尾歯科医院です。ここも院長以外に2〜3名の勤務医がいて、衛生士が4名、技工士1名、当時は受付も2名いて、大人数のとても賑やかな医院というのが第一印象でした。そしてスタッフが皆、とても楽しそうにイキイキと仕事をしているということが私には驚きでした。

 実際に臨床の場に出て、歯科衛生士はつまらない仕事というイメージが強くなり、実習も辛いだけだった私が、初めてここに来て、「楽しい」と感じながら実習をすることができたのです。実際に働いているスタッフは皆、チームの一員として、お互いの立場を尊重しながら診療に取り組んでいました。それまで抱いていたマイナスイメージの仕事や環境とは全く違う、やりがいのある仕事というイメージが強くなり、2ヶ月の実習を終える頃には「歯科衛生士の仕事は面白い」という思いに変わっていました。

 なかなか衛生士の空きがない医院でしたが、たまたまその年は結婚退職する衛生士がいるということで声をかけていただき、大学病院への就職の夢はあっさり捨て、松尾歯科医院への就職を決めました。

 あれから長い年月が過ぎましたが、今でも毎日楽しくやりがいを感じながら仕事を続けることができ、とても幸せに思っています。もしも今の医院に実習に来なかったら、私は歯科衛生士の仕事にも就いていなかったかもしれないし、ここまで長く続けることもなかったかもしれません。だからこそ、今は指導する立場にある私の責任も重大だと思うのです。きっと彼女たちも毎日辛い思いをしながら、実習に臨んでいると思います。中には、実習の途中で辞めたいと言い出す学生もいます。私も行動には移しませんでしたが、辞めたいと思ったことは1度や2度ではありませんでした。だからこそ、私が今の医院で得ることができた歯科衛生士という仕事の面白さややりがい、魅力を伝えられるような指導をしていきたいと思っています。

 最近では、短大や大学を卒業後に、また社会人を経験後に歯科衛生士を目指してくる学生も少なくありません。私の時代にはあまりなかったことです。
学校自体も3年制に切り替わってきていて、カリキュラムもより充実した内容になっています。そのような状況の中で、歯科衛生士を目指している学生に、その夢を大きく持ってもらえるような衛生士になることを、私たち一人ひとりが自覚しながら仕事に取り組むことも必要だと思っています。
そして、これからも多くの仲間が増え、歯科衛生士の社会的地位も向上し、より魅力ある職業になっていくことを強く願っています。

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