第1回 ヘルスケア歯科診療の薦め

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ヘルスケア歯科診療、この言葉聞いた事がありますか?どんな事を意味しているのか知っていますか?

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1975年から1999年の歯科疾患実態調査のDMFTの年齢別推移を見ますと、この25年間の歯科疾患構造は全く変化していません(図1)。歯科医師数が倍増し歯科医療技術が発達し個々の歯科医師が真面目に臨床に取り組んでいるにもかかわらず・・。このような実態を変革し、歯科医療の結果が国民の口腔を健康に改善、維持出来るようにする為には、ヘルスケア歯科診療というコンセプトが必要なのです。ヘルスケア歯科診療とは、一言で言い表すならば、人々が生涯にわたり口腔の健康を維持し健全な機能を全うする事が可能になるような、歯科医療全体をマネジメントしていくコンセプトです。 ヘルスケア歯科診療では、まず全ての来院患者さんに対して、口腔内写真、全顎デンタルX線写真、歯周組織検査を行い、その結果を時間をかけて患者さんに提示、説明します。そしてう蝕と歯周病の原因論について患者さんに説明して、何故今のような口腔内状況になってしまったのかを患者さん自身に気づいてもらいます。さらに何をどのように改善すればいいのかを患者さんと共に考えて、口腔内環境の改善を図ります。その後に、口腔全体の歯周治療、修復治療を行います。治療終了後に再び口腔内写真、全顎デンタルX線写真、歯周組織検査を行い、その結果を再度時間をかけて患者さんに提示、説明します。そして治療後に得られた口腔の健康を生涯に渡り確実に維持出来るようにする為に、定期的なメンテナンス治療に来院することを提案します。その結果、その提案を受け入れて定期的メンテナンスに来院されている患者さんは、本当に治療終了時の口腔内状態を10年15年20年と維持する事が出来るのです。これは患者さんの立場に立って考えた時には、本当にありがたい事でしょう。時々ムシ歯ができて治療するのが当たり前、年を取れば歯を失っていくのが当たり前、そうではない、そうではなかった、と実感出来た時には、そのようなヘルスケア歯科診療を提供してくれた歯科医院、歯科医師、歯科衛生士は患者さんから本当に感謝されます。歯科医師の本来の仕事は、従来型歯科治療を一生懸命に行うのではなく、従来型歯科治療を受けないで済むように、患者さんと歯科医院のシステムをマネジメントすることなのです。

(図2)クリックで拡大します

最近の歯科のトレンドは予防であるとかPMTCであるとか盛んに言われています。口腔衛生指導をしてPMTCをする、それが予防で定期的に患者さんが来院してくれる、そんな捉え方が多いのではないでしょうか。ヘルスケア歯科診療とは、そのようなものではなく、インプラントや審美補綴等の高度先進医療や、必要な患者さんに対して行う削ったり詰めたり抜歯したりという従来型歯科治療を支える、歯科医療の基盤となるものなのです(図2)。    

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