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2013/10/24

第6回 仕事を楽しむということ

 日本列島が入梅の時期を迎える頃、都会の喧騒から逃れ、心と身体をリフレッシュするために、友人と二人で沖縄の離島に訪れた。
 
メディアでは「沖縄が梅雨入りした」と報じられていたが、宮古島の空港に到着すると真っ青な空と真夏のような太陽が私たちを出迎えてくれた。現地のホテル関係者によると、この時期の離島は、降水量はやや多くなるが、梅雨という概念は当てはまらないらしい。実際、私たちが滞在した5日間は、お湿り程度の雨は降ったものの、そのほとんどが晴天に恵まれた。

 今回の旅の一番の目的は、全室スイートルーム仕様というホテルで、のんびり過ごすことだ。「何もしない贅沢」を味わうために、高級リゾートホテルで「気の向くまま行動しよう」を合言葉に私たちの旅が始まった。

 宮古島では「シギラ ベイサイドスイート アラマンダ」に宿泊した。広い客室に案内され、真っ先にベランダに向かうと、異国に来たような錯覚をするほどの美しい景色が目に飛び込んできた。手入れされた庭と敷地内のゴルフ場の向こうには、エメラルドグリーンの海が輝いている。
 
本州より台湾の方が近いという離島の気候や景色は、もはや日本ではないという印象だ。出発前に「沖縄とは言え、所詮は日本国内だから・・」と高を括っていた私たちにとって、嬉しい誤算だった。  
一息ついてから島内を半周ドライブし、ホテルに戻ったのは夕方だったが、離島の日没は19時過ぎとあって、夕方でもアクティビティーを楽しめる。私たちは夕暮れ時のシーカヤックを満喫した。  
二日目の午前は水中観光船に乗船し、珊瑚礁を海中散策している気分にひたる。午後はカーフェリーで伊良部島まで渡り、神秘的な「通り池」までドライブをした。  
宮古島滞在中は「何もしない」どころか、欲張りな私たちらしく、いつの間にかフル回転の旅になっていた。

 あっという間に三日目の朝が訪れ、次の滞在先の小浜島へ船で移動した。  
ここは、NHKの朝のテレビドラマ「ちゅらさん」の舞台にもなった島だ。穏やかな空気が流れる小浜島は、まさに「何もしない」にはもってこいの島だ。
 
ホテルは「アラマンダ スイートラグーン ヴィラ」。宿泊客の多くは、ほとんど外出することなくホテルで過ごす滞在型なのだという。ラグーン沿いに点在するヴィラは、プライバシーが守られ、生まれたままの姿で過ごせる大人の空間だ。有名人のリピーターが多いのもうなずける。
 
部屋に備えつけられたマイジャグジー、マイサウナ、お昼寝用のデイベット・・どれをとっても心地よく、確かに外出するのがもったいない。
 
小浜島での二日間は、朝ジャグジー、昼エステ、夕方プール、夜ジャグジーというのんびりした時間を、ホテルのエリア内で過ごした。

 最終日、夕方のフライトまでの半日をなんとか有効利用したいと考えた。普通ならば島内観光かお土産を買うのが相場だろうが、私たちは、ホテルスタッフの勧めで西表島へ渡ることにした。小浜島から船で30分という近距離でありながら、起伏のある地形とうっそうとしたマングローブのジャングルはまるでアマゾンのようだ。
 
イリオモテヤマネコこそ見つけられなかったが、珍しい植物や生き物をたくさん目にすることができるジャングルクルーズとトレッキングを楽しんだ。

 結局、私たちの旅は、当初の予定とはうって変わって、盛りだくさんの旅になったのだが、心と身体を十分リフレッシュし、極上の休日を過ごしたことは言うまでもない。
 
何の計画も立てずに出発した私たちが、これだけ充実した5日間を過ごし、美味しい食事を堪能することができたのは、ホテルスタッフの対応によるものが大きい。

 このホテルではコンシェルジュをはじめとして、レストランスタッフやシェフに至るまで、いたる所で気軽に声をかけてくれる。その会話の中から、私たちの要望に合わせた旅のプランニングや、沖縄のレアな情報、島の食材の豆知識を教えてくれるのだ。おかげで、好奇心旺盛な私たちは、食事中も「へぇ〜」の連続だった。

 帰り際、総支配人に「スタッフの皆さんは感じがいい人ばかりですね」と言うと「スタッフには“とにかく楽しんで仕事をしなさい”と言っているんです」という。もちろん、その裏には厳しさもあるのだろうが、一人ひとりが仕事を楽しんでいる結果が、この雰囲気を作っているのだと思った。

 私たちの仕事は、正確さを要求され、緊張感を持って仕事をしなければならない。しかし、義務や使命感だけが先に立って仕事をしていれば、患者さんはそれを敏感に感じ取るだろう。私たちが「仕事を楽しむ」ということが、歯科医院という堅苦しい空間を少しでも居心地のいい空間にできるのなら、仕事は楽しんでするべきだ。
 
同じ仕事をするのならば、自分自身も楽しんだ方がいいに決まっているし、それが患者さんの満足に繋がるのなら一挙両得だ。

 首都高を走るリムジンバスの中でそんなことを考えていると、車窓から見える景色は、ネオンのにぎやか夜景に変わっていた。旅の終演は、夢から現実に引き戻されるようで切ない気持ちになる。瞼を閉じて、無数の星と月明かりしかない離島の夜空を思い出していると、いつしか深い眠りについたのだった。

歯科衛生士

田樽 ハイジ

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