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記事

2013/10/24

第6回 患者さんの笑顔をいつまでも…最終章

今回で私のコラムも最終章を迎えました。「インプラント治療における歯科衛生士の役割」として、インプラント治療の患者さんへの説明、インフォームドコンセント、器材の準備、滅菌・消毒、汚染された器材の処理、安心安全の医療などについてお話をしてきました。治療を終えた患者さんが笑顔で私たちに「私の人生が変わった」とおっしゃるその言葉を今まで何度となく聞いてまいりました。私たち従事者は、この患者さんの喜びの言葉のために頑張っていると思えます。

インプラント埋入手術を終えた患者さんは、上部構造が装着されることを日々心待ちにしています。そんな患者さんが噛めるようになった喜びを持続していただけるように、この先も長い期間に渡ってブラッシングや自己管理をしっかりと行うことが大変重要であることを、今一度私たち歯科衛生士から患者さんへ指導し、サポートをしていくことになります。ここからさらに歯科衛生士との関わりが深くなっていきます。

最初にもお話しましたが、インプラント手術前の患者さんへのブラッシング指導は治療を行うためには必須な過程であり、自己管理ができるようになってから埋入手術を行うべきです。最近では埋入直後からテックやプロビジョナルを装着し、歯肉より貫通している場合も多く、手術直後から清掃の必要があります。

上部構造が装着されてからはリコール期間を決め、指導やアフタフォローを行います。「インプラント治療の条件」として患者さんとの間に「リコールに応じる」という約束の取り決めを行う医院は多く見受けられます。リコールの際には、以下の内容を確認します。

□ 歯肉の状態 出血、排膿の確認 (インプラント周囲炎の有無)
□ 骨レベルの状態 (必要に応じてレントゲン撮影)
□ 動揺度の確認
□ 咬合状態の確認
□ 破折、ネジの緩みなどの確認
□ リコール間隔を決めていく
□ 患者さんの要望を聞く
□ プロフェッショナルクリーニング 口腔衛生指導

患者さんは、上部構造が装着されてからはじめて清掃指導を受けても、すぐに口腔衛生を上手に保つための技術を取得できない場合があります。埋入手術直後からスムーズな清掃ができるように、術前からの口腔衛生指導は大変重要になります。また浸出液の中に、出血、排膿などがある場合はその原因を調べ、適切な処置や指導が必要となります。レントゲンを撮影し、上部構造を取り外しての術者による清掃や化学的療法が必要になる場合もあります。また、インプラント部位のみではなく、口腔内全体の口腔衛生指導を行うことが必須です。

天然歯に比べインプラント周囲炎の場合は、進行が数倍早いと言われています。体が異物として判断し、早く生体から除去させるように働いてしまうのです。 「インプラントは虫歯にはならないが、歯周病にはなりますよ。」と私はよく患者さんに伝えています。

現在インプラントに適する歯ブラシは数種類ありますが、こちらに紹介するブラシは㈱ライオンより発売されているインプラント専用の歯ブラシ「Implant Care」になります。

ヒーリングキャップ装着後すぐに使用できるような柔らかいタイプ

歯頸部を磨きやすい幅の狭いタイプ

写真提供 日本歯科大学新潟病院 歯科衛生士 松岡恵理子

左より、ヒーリングキャップ装着後すぐに使用できるような柔らかいタイプ、上部構造の歯頸部を磨きやすい幅の狭いタイプ、歯間部、最後臼歯など、通常の歯ブラシが届きにくい部位のケア用と、3種類があります。

また、手術直後に使える殺菌剤、抗炎症剤配合、低刺激の「システマ薬用デンタルリンス(ノンアルコールタイプ)」メンテナンス期に歯間ブラシやワンタフトブラシにつけて使う、殺菌剤、抗炎症剤配合の「システマ薬用歯間ジェル」なども、有効に活用すると良いでしょう。(㈱ライオン資料提供)

患者さんによって異なる上部構造の形態や技量にあわせ、適切な清掃器具を提供していきます。清掃状態に問題のある場合やインプラント周囲炎の恐れのある場合は、リコール期間を短くし、経過観察する必要があります。

「歯を取り戻し・噛めることの喜び」

患者さんのその思いを持続するためには、私たち歯科衛生士の役割は重要なのです。

インプラント治療における歯科衛生士の役割は、チーム医療を担う重要であり、そのためには日々経験や知識を養っていく必要があります。そして私たちは患者さんの人生を変えるお手伝いができるのです。「患者さんの笑顔をいつまでも・・・」

プチコラム 「サンタの国北欧のお話」

 

イラスト

イラスト(イラストレーター KIM)

 

街には、クリスマスソングが聞かれるようになりましたね。徒然なるプチコラムも、今回で最後になりました。そこで、サンタの国のスウェーデンにおける歯科事情としまして、2007年に、スウェーデン・ハルムスタッドの州立病院に感染管理の研修に行った時のお話をしたいと思います。

10月のスウェーデンの気温は4度でした。北欧の寒さは厳しく長い長い冬がやってきます。 夏になるとザリガニやエビが解禁となり、人々はビールと一緒にそれらを食します。夏は 百夜で、夜の9時まで明るい日が続きます。人々の税金が高いこともあり、医療保障は充実しています。20歳以下と65歳以上の医療費は、国が保証してくれます。また、国民の健康への意識は大変高く、お金の価値観も贅沢を好まず、必要なものを質素倹約に購入するという印象を受けました。

デンマークから電車で2時間の距離にあるハルムスタッド州立病院にてインフェクションコントロールの研修を受けました。

エビとザリガニ

エビとザリガニ料理は定番です。

ハルムスタッド州立病院

ハルムスタッド州立病院

施設内には洗浄機が設置されています。

施設内には洗浄機が設置されています。

㈱モリタの血液タンパク分解洗浄剤

研修を一緒に受けた仲間と

病院の外見は北欧ならではの茶色の壁、古風なイメージ。素敵なお城のようです。そこではインプラント手術やインプラント周囲炎の処置などを見学しました。器材は、必ず洗浄を行っており、洗浄⇒消毒⇒滅菌の工程が厳守されていました。滅菌時にはインジケータが必須であり、カルテに張り付けなくてはなりません。それくらい徹底されているのです。 インプラント埋入手術の介助は歯科衛生士ではなくデンタルナースが行います。

歯科衛生士は自分の部屋とチェアを持ち、45分に1人の患者さんのメインテナンスケアを行っていました。驚いたのはレントゲンも設置され、歯科衛生士が撮影できる点です。咬合調整なども行います。日本の歯科衛生士の仕事内容とのレベルの違いに驚くばかりです。

私の普段行っている仕事は、スウェーデンではデンタルナースの仕事であると実感したのです。

インジケータを保管と説明するデンタルナース

インジケータを保管と説明するデンタルナース 英語が話せます

レントゲンを撮影する歯科衛生士

レントゲンを撮影する歯科衛生士と彼女の診療部屋 カーテンも素敵でした。

日本では歯科医院によるレベルの差を痛切に感じます。スウェーデンでは国からのきちんとした規制があるため、どこの病院へ見学に行っても、洗浄機は当たり前のようにありました。うらやましい限りの環境に、ただただ感動し、日本に帰ってきました。私は少しでもその先端医療に近づけたい気持ちから、日々日本の歯科衛生士さんへメッセージを送り続けています。

今回で、私のコラムもいよいよ最後になってしまいました。全6回をお読みくださった方々には大変感謝申し上げます。イラストレーターのKIMさん、毎回癒しのイラストを描いて頂きまして私のコラムに華を飾って下さいました。本当にありがとうございました。KIMさんのイラストは、私の講演でも皆さまにご紹介しておりますが、ご覧になった方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?

コラムでお伝えしたいことはまだまだたくさんありますが、講演やセミナーで改めて皆さま方にお会いできますことを楽しみにいたしております。読者の方々の歯科の世界でのますますのご活躍をお祈り申し上げます。日本のインプラント治療をよりよいものにするために一緒に頑張っていきましょう。私も日々精進してまいりたいと思います。ありがとうございました。愛する皆さま また会う日まで・・

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